【第5回】あなたが原点回帰ができる秘密のメソッド
2025年02月07日 07:00:00
山と人がつながる、やさしい循環
木を使うことが、
自然を壊すことだと思っていませんか?
「木を使うと、山がなくなってしまうのでは?」
そんな声を聞くことがあります。
かつての私も、同じような思いを持っていました。
けれど、木材業界に入り、
山に通い、市場で木を見続けるうちに気づいたのです。
木を使うことは、
山を壊すことではありません。
むしろ、木を正しく使うことこそが、
山を守るために必要な営みなのです。
ひのきも例外ではありません。
特に「とあるひのき」のように、
きちんと管理された山で育てられた木は、
人が手を入れなければ
荒れてしまう森のバランスを保つ存在です。
ひのきを暮らしに取り入れることが、
実は自然環境や地域社会にとって、
大きな役割を果たしている。
今日は、そんな「やさしい循環」の話をさせてください。
人が山に入らなくなったことで、
山が壊れていく
私が木材業界に入った約20年前。
まだ市場には製材所や材木店の社長らが出入りし、
木の声を聞く人たちがたくさんいました。
ところが近年、
林業の担い手は激減しています。
高齢化、人手不足、収益性の低下。
誰も入らなくなった山は、
間伐が行き届かず、日が差し込まなくなり、
木々は痩せ、土は流れ、
動物も生きづらくなっていきます。
本来、森は循環する場所です。
伐って、使って、植えて、育てる。
この循環が止まると、
山はただの“放置された空間”になってしまいます。
「木を伐ること=悪いこと」
という印象が先行しがちですが、
実際には、必要な時期に適切に伐り、使うことが
森の健康を守ることにつながるのです。
「とあるひのき」を使うという選択がつくる未来
「とあるひのき」は、ご神木のDNAを受け継ぎ、
南阿蘇のエリアで大切に育てられてきました。
山主さんは、
ただ木を育てているだけではありません。
その土地に合った手入れを施し、
間伐し、植え直し、
木一本一本の命を
未来につなぐ仕事をされています。
私たちは、そのひのきを市場で仕入れ、
商品として皆さんにお届けしています。
そして、その売上の一部は再び山へと還元され、
次の植林や保全活動に充てられます。
つまり、あなたがひのきを手にすることで、
山とつながる循環の一部になるのです。
この循環は、
木を扱う側だけでは成り立ちません。
実際に「使ってくれる人」の存在があって初めて、
山は息を吹き返すのです。
暮らしの中に、森を招き入れるということ
ひのきを家に迎え入れることは、
香りや手触りといったリラックス効果だけでなく、
“森の一部を暮らしに取り込む”という選択でもあります。
まな板ひとつ、小物ひとつ
小さな選択かもしれません。
けれど、そのひとつひとつが、
遠くの山の手入れを支えることになるのです。
自然に還るような、穏やかな時間。
深く、静かな呼吸。
そして、自然の中で暮らしているような安心感。
それが、ひのきのある暮らしが生み出す空間の力です。
私がセリの現場で木に触れるたびに感じる
「人に寄り添う木」たちは、
暮らしのなかでこそ、本来の力を発揮してくれます。
自分のために、自然のために、選べることがある
ひのきは、暮らしをやわらかくしてくれます。
香り、質感、佇まい。どれも強く主張しすぎず、
けれど確かに心に触れてくる、不思議な存在です。
今、何かに疲れているとしたら、
もしかすると、それは自然とのつながりが
薄れているサインかもしれません。
そんなときは、どうか無理をせず、
小さな「自然との接点」を
日常に取り入れてみてください。
「とあるひのき」は、
人と山とを静かに結び直すために、
生まれてきた木です。
それを手にするあなた自身が、
自然の守り手でもあるのです。
ここまでお読みいただいてありがとうございました
次回は、これまでの
全5回のメルマガをふり返りながら、
「とあるひのき」とともにある暮らしの本質をまとめた、
特別編をお届けします。
このひのきを通して、
自然と、自分と、そして未来と、
どんなようにつながっていけるのか。
改めて一緒に感じていただけたらうれしいです。
どうぞお楽しみに。
阿蘇神社式典(熊本地震からの復興)