【第3回】とあるひのきがもたらす、根拠のない安心感

そんなふうに感じている方、
多いのではないでしょうか。

私もかつて、
木材市場に勤め九州各地を
飛び回っていたころは、
とにかく“動き続ける”毎日でした。

めちゃくちゃ朝が早く、夜も遅い。
月に2〜3回あるセリの場では
緊張感が張りつめ、
心も身体も、
いつもどこかで戦っているような感覚。
仕事が終わっても休日になっても
どこか戦闘モードから抜けきれてない気分

でも、そんな時ほど──
ふと木の香りに包まれると、
呼吸が深くなるんです。
特に、ひのきの香りは別格でした。
いつまでもそこに居たくなる感じ。
特に製材仕立ての水分をたっぷり吸った
乾燥していない材料が入荷した時は格別でした
もう天然素材の麻薬
と言ってもおかしくないくらい
何十年も製材された木に
囲まれてきたセリ人の私が感じた、
“ただそこにあるだけで癒される理由”、
今日はそのお話をしたいと思います。
ひのきの香りが心に働きかける“しくみ”

ひのきの香りには、ある特別な成分が含まれています。

それが、フィトンチッド。

森の中にいるときに感じる、あのすがすがしい香り。
実はこの成分には、以下のような働きがあることがわかっています：

つまり──
ひのきの香りを吸い込むだけで、
心も体も整いはじめるということなんです。

これは、科学的にも認められた“効果”であり、
さらに言えば、私たち日本人が昔から
自然の中で感じてきた“本能的な安心感”でもあります。

実際に、ひのきを暮らしに取り入れた方からは、
こんな感想がよく届きます。

この“がんばらなくていい癒し”こそが、
ひのきの香りがもたらす
最大のリラックス効果なのだと思います。

そしてそれは、自然と生きてきた木が、
静かに語りかけてくれる感覚でもあるのです。
木材業界20年の視点から見る「香りの品格」
とでも言いましょうか。
セリ人として長年木に触れてきた私からすると、
ひのきの香りには特別な何か
“品格”のようなものがあります。

香りには強さよりも“余韻”があり、
一瞬で消えるのではなく、
じわっと空間になじんでいく。
身体にもスゥ〜と溶け込む感覚
これは、どんな香水や
アロマオイルでも出せない、
ひのきが生きてきた時間
そのものが醸し出す自然の香りです。


このとあるひのきは
100年以上のものでないと名乗れない
ひのきの中でもやはり格が違います。
山で静かに育ち、
人に見守られ、
雨風に耐えてきた年輪。
その深みが、香りとして
漂ってくるのです。

そういう木を見極めるのが、
私たちセリ人の仕事でもあります。

そして、「とあるひのき」は、
その中でも特に香りの余韻が長く、
落ち着きとあたたかみを
感じさせてくれる逸品のひのきでした。
香りで“自分に還る時間”をつくろう

もし今、あなたが 
「なんとなく疲れている」なら薬やカフェインよりも、

まず“香り”に意識を向けてみてください。

家の片隅に、ひのきの小さなアイテムを置く。
料理や入浴の時間に、ひのきの香りを取り入れてみる。それだけでも、
日々のリズムが少しずつ変わり始めるかもしれません。
ひのきの香りが与えてくれるのは、
“本当の自分に戻るための静かな道しるべ”。
自然に囲まれて育った木が、あなたの生活にも、
やさしいリズムを思い出させてくれるはずです。
次回は、「日本人と木の深い縁」についてお話しします。
なぜ私たちは、木を見て安心するのか。
なぜ古くから、木が神聖な存在とされてきたのか。
そこには、日本人ならではの美意識と、
ひのきの存在が深く結びついています。

どうぞ、次回も楽しみにお待ちくださいね。

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